宝石の価格はもう下がらないのか

2011.06.08

現在、我が国では構造改革や規制緩和が声高に叫ばれていますが、宝石業界においては、製品の輸入に課税される関税6.6%を除けば、政府によって価格が左右されるようなことは少ないといえます。流通の複雑さは若干ありますが、緩やかに解決の方向に進んでいることも確かだと思います。この流通がカットされることで20〜30%下がる可能性もあると考えられますが、価格の面は単に流通の複雑さだけにあるのではなく、業界全体がリスクを負わない、無責任な甘えの構造と、各々の経営者の、商人としてお客様を大切にするという、商人哲学の欠如に大きく左右されるのです。また、近頃では、直接小売店や通信販売業者が海外に買い付けに行くケースも多くなっていますが、海外での買い付けのプロでもない担当者が、時折海外に行っても、それほどメリットのある買い付けはできるものではありません。ご本人たちは、メリットのある買い付けができたと錯覚しているようですが、アマチュアがプロに勝てるほど、数千年の歴史がある宝飾ビジネスのプロ中のプロのユダヤ人、インド人、華僑の商売は甘くはありません。海外に直接買い付けに行き、妥当な価格でメリットのある仕入れをしようと思うなら、買い付け国の語学も文化も学び、先方のバイヤーとも取引業者を超えた人間としての強い絆を結び、その上、プロとしての鑑定もできなければなりませんし、さらにはリスクを張る勇気も要求されます。これだけの条件を備えた小売店のバイヤーは、30数年業界で生きてきた私も、わずか数人の方しか存じ上げません。後述するような「宝石取扱店」や「宝石取次店」のバイヤーにそれほどのプロは皆無でしょう。消費者の皆様には、損をしない宝飾品選びのためにも、確かなプロの宝飾店を選択する目を養ってほしいものです。